ザカリーに捧ぐ 2008年米

若くして殺されてしまったアンドリューの、残された息子ザカリーのために、友人の映像作家カートが撮ったアンドリューの人生と人柄を追うドキュメンタリー。
アンドリューはザカリーに会うことなく亡くなってしまったため、いつかザカリーに見せるために撮られたこのビデオは冒頭「パパはこういう人だったんだ、みんなに愛されていたんだよ」というメッセージ性が強かったのだけど、やがて物語は思わぬ方向へと進みだす。

アンドリューの両親の、息子に対する愛、孫であるザカリーに対する愛情はすごい。なんか本当に二人とも善良で愛に満ちていて、アンドリューを殺した犯人であるシャーリーとは真反対の人間であると言える。多分シャーリーは、自分を救うのはアンドリューのような人間だとわかっていたのだろうな。世界を信用できない人間にとって、色んなものを無条件に信じている人間っていうのは眩しく見えるものですし。
アンドリューが亡くなってから、生きる理由を探すようにザカリーのための活動にのめりこんでいく二人の様子が鬼気迫る。そうしてないと大切な人を失ってしまったとき、まともでなんかいられないのかもしれない。